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警備業界におけるM&A
2022年3月16日

はじめに

 

M&A(エムアンドエー)とは、吸収合併・新設合併などによる会社の「合併(Mergers)」と、株式取得・資本参加・事業譲渡・資産買収などによる会社や事業の「買収(Acquisitions)」を指します。

 

近年の警備業界ではM&Aが盛んに行われています。それはなぜでしょうか?

今回は警備業界におけるM&Aについて紹介します。

 

警備業界の現況

1962年(昭和37年)に国内で最初の警備会社である日本警備保障株式会社(現・セコム株式会社)が創業されて以降、日本の警備業界は右肩上がりの成長を続けてきました。

 

近年は法人向け市場の飽和によりその伸び率は鈍化しているものの、一般家庭へのホームセキュリティの普及などに支えられ、全体として堅調に推移しています(表1,表2)。

 

警備業界は2019年(令和元年)12月末時点で、売上高3兆5,534億円、事業者数9,908社の巨大産業となっています。

 

しかしその売上高の1/4以上を組織力・ブランド力に勝るセコム株式会社と綜合警備保障株式会社(ALSOK)の大手2社が占め、残りの3/4を9,900社以上で争うという市場構造となっています(表3)。

 

全国の警備業者の約9割が警備員数100人未満の中小の警備業者ですが、そういった中小の警備業者では、大手との賃金格差による慢性的な人材不足、競争激化による受注単価の低下などにより、経営環境が徐々に厳しくなっていているのです。

 

(表1)

(表2)

(表3)

 

警備業者間のM&A

近年の警備業界では人材不足解消と経営基盤の強化を目的とし、同業種間のM&Aによる業界の再編成が進んでいます。

 

警備会社間のM&Aでは買い手、売り手にそれぞれメリットがあるのです。

警備会社のM&Aにおける買い手のメリット

1. 即戦力の警備員を一括で獲得できる
警備会社は慢性的な人材不足に苦しんでいます。

令和3年1月の全国の有効求人倍率は全職業計が1.04(前年同月1.44)であったのに対し、警備員を含む保安の職業は6.68(前年同月7.51)でした。

7人の求人に対して1人の応募者しかいないことになります。

それに加えて未経験者を採用すれば20時間以上の新任研修が必要です。合併・買収した警備会社から即戦力の警備員を獲得することで、人材不足を補うことができます。

 

2.新たな取引先、顧客を得られる
合併・買収した警備会社の警備契約を引き継ぐことで、安定した収益を増やすことができます。

 

 

3. 事業エリアの拡大ができる
事業エリアを拡大する場合、自社で営業所の新設、警備員の採用、顧客の開拓をするよりも、すでにそのエリアで事業を営んでいる警備会社を合併・買収したほうが効率的です。

 

 

4.間接コストが削減できる
企業規模が大きくなれば相対的に本社経費、広告宣伝費、採用活動費などの間接費の割合が低下し、企業として生産性が上がります。

 

警備会社のM&Aにおける売り手のメリット

続いて売り手側のメリットを見ていきます。

 

1. 廃業を避け事業承継できる
M&Aを活用することにより、廃業することを避けられ事業承継が行えます。
これまで成長させてきた警備会社を信頼のおける企業の中で続けることができます。
これにより、後継者問題が解決したり、従業員の雇用を維持することが可能です。
これ以外にも、優良企業とのM&Aですと、以前よりも従業員の待遇が改善されたりする可能性があります。

経営者のみならず、従業員にもメリットがあります。

 

2.負債を解消し創業者利益が得られる
M&Aすることで負債を解消しながら創業者利益※が得られます。
会社を売却することで、多種多様な資産に価値が付くので、大きな金額となる場合もあります。
創業者利益の目安は、株式の時価または保有株数で変化します。
おおよそ数千万円〜3億円程度です。
まとまった資金を得たい場合は考えてみてもいいのではないでしょうか。

※創業者利益とは、オーナー株主が会社創業時から持っていた株式を第三者に売却することで得られる利益のことを指します。

 

3.大手傘下で経営を安定させられる
M&Aすることで、経営が安定させられます。
M&Aで大手企業の傘下に入ることができれば、資金力が高まります。
これにより、経営が安定するとことが見込まれます。

 

中小規模の警備会社ですと、思うように売上が伸びないことで資金繰りに苦労している経営者は多くいます。
しかし、M&Aをすることによって、買い手側の経営資源を活用することができます。
これに加えて大手企業の経営ノウハウを学べれば、以前より効率的な経営をすることができるようになる可能性があります。

 

異業種へのM&A

M&A・会社売買によって、他業種から警備業界への参入が増えている一方で、M&A・会社売買を経て、他業種へ新規参入する警備会社も増えています。

 

その代表的な例が大手警備会社のセコムです。セコムの年間売上高のおよそ4割は、保険業務・情報通信業務・不動産業務など、警備業務以外の業種の売上が占めています。

 

ほかにも、東京電力やインテックなどが出資して設立されたアット東京を、M&A・会社売買によって買収しました。そして、売却企業側のアット東京は、M&A後、国内最大規模のデータセンター事業会社となりました。

 

警備会社が他業種のM&Aをすることや、他業種と警備会社のM&Aも盛んに行われています。特に不動産業やイベント会社、介護福祉などは警備業に良い相乗効果が生まれるとされています。

まとめ

大手を中心としたM&Aは今後も続き、異業種とのM&Aも増えていくと思われます。
M&Aは警備業界の現状を打破する手段の一つであると言えるでしょう。

 

私たちMTテクニカルジャパンは、銀行・弁護士・税理士などのテクニカルチームと共に「事業継承」「M&A」「再建」といったご相談にも取り組むプロフェッショナル集団です。

 

M&Aの知識を持つ警備会社として、警備業界をリードするべく日々努めてまいります。