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雑踏警備(イベント警備)で知っておきたい「群集心理」  ~人が集まったときに起こりやすい心理状態とは?~
2022年8月3日

はじめに

屋内・屋外ともに多くの人が集まる場所で警備をする業務を「雑踏警備」といいます。イベントの開催に合わせて仕事を行うため「イベント警備」とも呼ばれることがあります。

 

警備の対象は「群集(雑踏)」と呼ばれ、主な業務の内容は、群集の整理や案内、不審者の監視、混乱防止や事故防止などです。

人は群集となった場合、個人の場合とは異なった心理状態「群集心理」によって思わぬ行動に出ることがあるため、警備の際には注意が必要です。

 

今回は、雑踏警備(イベント警備)を行う際に知っておきたい「群集心理」について解説します。

 

▶イベント警備の内容について詳しくはこちら。↓

イベント警備について

 

「雑踏警備(イベント警備)」と「交通誘導」の違い

最初に「雑踏警備(イベント警備)」と「交通誘導」の違いを確認しておきましょう。

 

警備業の区分では、どちらも2号警備と呼ばれる業務です。

「人や車両について、ケガや事故の発生を警戒し、防止する」点が共通の役割ですが、具体的な仕事内容は警備を行う現場によって異なります。

 

雑踏警備

「人や車両の雑踏(※)する場所」での警備

 

(※)不特定多数の人々が一定の場所に集まった混雑状態のこと。

・お祭りや花火、スポーツ大会やコンサートなど各イベント会場で、会場や周辺の警備を行う。

・イベントがある期間のみ、会場の警備を行う。

 

交通誘導警備

「人や車両の通行に危険のある場所」での警備

・工事現場や駐車場などで、一般車両や歩行者、工事車両の出入りを誘導する。

・イベントの有無にかぎらず、現場の警備を行う。

 

2号警備について詳しくはこちら。↓

警備第2号業務

 

「群集心理」とは?

雑踏警備では、警備の対象は「群集(雑踏)」と呼ばれます。

群集には、一般的に次の3つの特性(性格)があるといわれています。

 

〔①付和雷同〕

・付和雷同(※)しやすく、個々の理性を失うことが目立ってくる。

(※)自分に一定の考えや意見がなく、他人の言動にすぐ賛成すること

 

〔②自己本位〕

・「我先に」という強い「自己本位」の本能が先行して、さらに混乱を生む。

 

〔③興奮状態〕

・混乱の中から、予想もしなかったような興奮状態を引き起こす。

 

群集心理とは、「群集行動の中で一時的に生まれる特殊な心理状態」のことをいい、そのために警備がスムーズに進まなくなる可能性があります。

雑踏警備を行う警備員は、前もって群集心理の特性を理解しておくとよいでしょう。

 

 

群集心理の特性

ここからは、一般的な群集心理の特性をみていきます。

大きなイベントなどに参加されたことのある方は、イメージが湧きやすいかもしれません。

 

〔①無名性〕

・共通の対象への関心が高まれば、対象を中心として一つの全体的なまとまりとなる。

・自己意識が薄れて全体の中に融合し、自己を群集の一部分として意識する。

 

〔②無責任性〕

・自己を群集の一部として自覚することにより、

・結果に対する責任の分散(※)

(※)複数の人間がいる場合、各自が感じる責任が、一人だけで責任を負う時よりも軽くなること

 

・罰せられる、悪いことをしているのは群集を扇動する者(その他の者は罰を免れることができる)

などの意識が生まれる。

 

・罪悪感が薄くなり責任性がなくなる。

 

〔③無批判性〕

・共通の対象に対する知識が部分的なため、

・自分自身では正当な判断ができない。

・無批判で他人の判断や発言を鵜呑みにするようになる。

 

〔④情意性〕

・感情性が強くなり、知的作用が低下する。代わりに情意性(※)が表れる。

(※)互いに思うこと、考えていることが通じ合うこと。

・上記の傾向が、他の人に感情を伝達することによって上昇し、そのまま行動に移る➡群集行動で予測できない重大な結果を招く。

 

〔⑤暗示性〕

・意識の範囲が狭くなり、外部からの影響に対する抵抗は弱くなる。

 

〔⑥親近性〕

・相互の心理的交渉を通じて、親近感や同志感を持つようになる。

 

多くの人が集まった時には、特殊な心理状態が生まれやすいです。

警備の仕事だけでなく、自分がイベントに参加する場合でも、群集心理を知っておくと役立つのではないでしょうか。

 

群集心理と広報(アナウンス業務)

群集心理によって、「雑踏事故」といわれる思わぬ事態につながってしまうことがあります。

雑踏警備で、人々の混乱や事故を防止する業務のひとつに「広報」があります。

イベントが順調に進むよう、来場者に向けて情報提供や注意喚起を行うアナウンス業務のことです。

 

広報には以下の3種類があり、現場の状況に応じて①・②・③を行います。

〔①情報広報〕

  • 事前に情報を提供する➡雑踏の心理的不安を解消する。

(留意点)繰り返しアナウンスを行う。

 

〔②規制広報〕

  • 過密状態など危険を未然に防ぐ・不正行為を中止させる。

(留意点)厳しい命令口調を避ける。

 

〔③禁止広報〕

  • 不法、規定違反の警告・制止をする。

(留意点)毅然と広報する。

 

一般的に、①情報広報を行い、状況の変化により②規制広報を行って、③禁止広報を行う必要がないのが望ましいとされています。

 

<参考文献:「雑踏警備業務の手引」社団法人全国警備業協会(2006)>

 

まとめ

群集心理とは、「群集行動の中で一時的に生まれる特殊な心理状態」のことをいいます。

 

多くの人が集まるイベントの場合、参加者が通常の心理とは違う状態になりやすいです。

雑踏警備(イベント警備)では、イベントが安全に終了できるよう警備を行うことが求められます。

 

人々の混乱や事故を防ぐため、警備の前に群集心理の特性を知っておくとよいでしょう。