警備会社の営業所の備え付けるべき法定書類

はじめに

警備業者では、所属する警備員の名簿やその他の警備業務に関連する書類を、常に営業所に備えつけておくよう警備業法第45条にて定められています。
今回は備え付けの書類にはどのようなものがあるか、様式、書き方はどうしたらいいのかなどをみていきたいと思います。

 

 

備え付け書類として必要なものは何があるか

書類は7種類あります。

・警備員の名簿
( 教育実施状況欠格事由に該当しないことの確認措置書面誓約書 )含む
・護身用具の種類ごとの数量を記載した書面
・指導計画書
・教育計画書
・教育実施簿
・警備契約先一覧表
・苦情処理簿

上記のものになります。

ここからは個々の内容についてみていきます。

警備員名簿

警備業法第45条(警備員の名簿等)で定められている備え付け書類の中の警備員名簿というものについてみていきます。
名簿に記入する項目や、添付する書類などは、警備業法施行規則第66条第1項の第1号に詳細が書かれていますので参考にしてください。

▼書式

警備業協会が推奨する書式があります。

 

 

上記のようなものに記入してください。

 

▼記入すること

・氏名、本籍、現住所、生年月日、採用年月日、退職年月日

 

・当該警備員に対し行った警備員教育にかかる実施の年月日、内容、時間数、実施者の氏名

 

警備員の教育実施状況は、警備員名簿の裏面に、新任教育の実施状況を記入してください。
また、これ以降の現任教育につきましては、別紙を用意して、実施の度に追記するようにしてください。

 

・従事させる警備業務の内容

 

・交付を受けている合格証明書に関する事項

当該の警備員が合格証明書の交付を受けている場合は、下記のことを記入してください。

 

▸当該合格証明書に係る警備業務の種別及び級
▸当該合格証明書を交付した公安委員会の名称
▸当該合格証明書の交付年月日及び合格証明書の番号

 

・交付を受けている警備員指導教育責任者資格者証に関する事項

警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている場合は、下記のことを記入してください。

 

▸資格者証を交付した公安委員会の名称
▸資格者証の交付年月日
▸資格者証の番号
▸当該資格者証に係る警備業務の区分

 

・交付を受けている機械警備業務管理者資格者証に関する事項

機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている場合は下記のことを記入してください。

 

▸資格者証を交付した公安委員会の名称
▸資格者証の交付年月日
▸資格者証の番号

 

・警備員の顔写真
顔写真は、3年以内に撮影しており、無帽、正面、上三分身の縦3cm×横2.4cmの無背景のものという条件があります。
また、3年ごとに当該警備員の写真を撮影して、新たに張り付けなければいけないので注意が必要です。

 

・警備員が退職した場合は、退職年月日、退職理由

欠格事由に該当しないことの確認措置書面

警備業法第45条(警備員の名簿等)で定められている備え付け書類の中の欠格事由に該当しないことの確認措置書面の部分についてみていきます。
警備業法の第14条第2項の規定によって、警備業者は欠格事由に当たる者を警備の業務に携わらせてはいけないということになっています。

 

これにより警備業者は、警備員が欠格事由に該当していないかを確認するために、一般の私人として、できる限りの範囲で必要で調査をしなければいけないとなっています。
警備員を採用するには、欠格事由に当たらないという旨の誓約書を、警備員から提出を受けるといったことに加え、履歴書、診断書などの提出を受ける、面接調査を行うなど十分な措置を取らないといけません。

 

施行規則第66条第1項の第2号によって、実際に講じたこれらの措置を記入した書類を備え付け、警備業者に置いておく必要があります。

 

▼書式

警備業協会が推奨する書式があります。

 

▼確認措置書面に添付する書類

 

確認措置書面に確認事項を記載するとともに、各項目を確認する時に必要である以下のような書類を添付し保管する必要があります。

 

・誓約書(警備員用のもの)
・住民票(本籍地記載のもの)
・履歴書(氏名は本人自筆のもの)
・運転免許証のコピー等
・市町村長の証明書(身分証明書)
・面接調査票
・医師の診断書
・学生証のコピー(学生、新卒の場合)

護身用具の種類ごとの数量を記載した書面

警備業法施行規則第66条第1項の第3号にて、警備業で使う護身用具の種類ごとに数量を記入した書面を備え付けるようにと定められています。

▼書式

警備業協会が推奨する書式があります。

 

▼記入すること

・護身用具の種類
・会社で所有している護身用具の数、
・現場に配備されている護身用具の数、また使用現場など

 

上記のことを記入し常に最新の状態を保つようにしてください。

▼保存方法

こちらのものは、紙だけでなくPCなどの保管方法でも大丈夫です。
ただし、紙などに印刷を出来るようにしておく必要があります。

指導計画書

警備業法施行規則第66条第1項の第4号にて警備員の指導計画書を作成して備え付けておくようにと定められています。

▼書式

警備業協会が推奨する書式があります。

 

 

▼記入すること(注意点含め)

・指導実施予定時期……基本的には1か月単位で指導計画書を作成してください。
・実施日……指導予定対象者の予定日や曜日を記入してください。
・指導対象者……配置先や担当業務や警備員氏名を記入してください。
・指導事項……指導予定内容を記入してください。また、実務に沿ったものを書くようにしてください。
・指導方法……講義の方法、実技訓練の方法などについて記入してください。
・指導担当者……氏名と一緒に役職や資格も記入してください。
・実施場所……指導を実施する場所を明確に記入してください。
・摘要……その他で必要なことを記入してください。

 

※実際に指導した場合は、警備計画書に加えて、警備員指導実施簿を作成し備え付けるようにしてください。

 

警備員指導実施簿

警備業法施行規則の第66条では、警備員指導計画書の作成と備え付けは義務付けられていますが、指導実施簿を作成することまでは義務付けられていません。

 

しかし、警備業務で不祥事案などが起った場合は、適正な指導や監督がなされていたことを証明する書類などがない限り、指導並びに監督の懈怠として行政処分の対象となる場合があります。
ですから、警備員に対する教育と同様で指導実施簿の作成は実質的に不可欠です。
これらのことから、警備業者にとっては法定備付書類と同じくらい重要であるといえます。

 

警備員指導実施簿には、指導計画書に基づき、実施したということを記入してください。
指導を予定していたが変更になってしまった場合は、変更後の事実についての記入が必要です。
指導計画書と指導実施簿は必ず完全に一致していなければいけないというものではありませんので、現場の状況などに応じ、臨機応変に対応しても問題はないです。

 

▼記入すること

・実施年月日時間帯
・実施者氏名……氏名だけでなく、役職や資格なども記入してください。
・実施場所……住所、施設名、部屋名や区域名など、具体的に記入してください。
・対象警備員氏名
・指導事項の概要……指導計画書に記入されていることやそれ以外のことなど実際に指導したことを具体的に記入してください。また、指導した内容と一緒に、指導方法についても記入してください。
・警備員指導教育責任者、実施者の確認欄……指導が実施されたことを確認します。これに加えてさらに指導教育責任者と、指導実施者の氏名と押印が必要です。

教育計画書

教育計画書は、法定警備員教育の計画について書いた書類のことです。
警備業務の種類ごとに、必要な時間数の教育に係る教育計画書を作り、営業所に必ず備え付けておかないといけません。
(警備業法施行規則第66条第1項第5号)

▼教育計画書を作成する警備業務の種類

1号業務(機械警備除く)
2号業務
3号業務
4号業務
機械警備業務

 

また、新しく警備業務に従事させようとするときは、警備員に対する教育として、一般と特
例(過去3年間に1年以上の警備経験等)資格保有者に分けて教育計画書を作成します。

 

一般警備員の場合は、基本教育と業務別教育の二つを併せて20時間以上、特例の場合は、基本教育と業務別教育の二つを併せて7時間以上、資格保有者の場合は、その種別・級に応じた教育計画書を作成しなくてはいけません。

▼書式

警備業協会が推奨する書式があります。

 

 

基本教育

 

 

業務別教育(1号)

 

 

業務別教育(2号)

 

 

業務別教育(3号)

 

▼記入すること

以下のことを記入してください。
・実施時期
・内容
・方法
・時間数
・実施者の氏名
・対象とする警備員の範囲

教育実施簿

警備業法施行規則第66条第1項第6号にて警備員の教育実施簿を作成し、備え付けておくようにと定められています。
警備業者は、警備員の新任教育や現任教育を行うたびに、教育実施簿を作成し、営業所に備え付けておく必要があります。

 

▼書式

警備業協会が推奨する書式があります

 

▼記入すべき項目(注意点含め)

・実施年月日
・内容
・方法
・時間数
・実施場所
・実施者の氏名
・対象となる警備員の名前
一度に多くの警備員に対し教育を行って、教育実施簿に氏名を記入しきれない場合は、別紙受講者名簿を作成して添付してください。
・警備員指導教育責任者及び実施者が確認した旨の付記
この項目は、本人が署名するように指導されているので、必ず本人が記名押印してください。

▼保存方法

備え付け方法は紙だけでなく、すぐにプリントアウトできる状態にしてあれば、PCのデータ上で保管する方法でも大丈夫です。

警備契約先一覧表

警備業法施行規則第66条第第1項の第7号にて、警備業者に契約先の一覧表を作成し、備え付けておくようにと定められています。

▼書式

契約内容が複雑で、書式例のものでは記載するのが困難な場合、それらの内容がわかりやすく記入できるように変更しても大丈夫です。

 

▼記入すべき項目

・当該契約に係る警備業務の依頼者
・警備業務に従事させる警備員の人数、担当業務、警備業務を行う期間など
・当該契約が警備業法第18条の資格者配置を必要とするものである場合は、当該警備業務の種別に係る合格証明書の交付を受けている警備員の氏名
・当該契約が1号業務の場合は、警備対象施設の名称や所在地
・当該契約が2号業務の場合は、警備業務を行うことになる場所
・当該契約が3号業務の場合は、警備業務を行う路程
・当該契約が4号業務の場合は、警備業務の対象となる者の住所または居所

 

▼保存方法

備え付け方法は紙だけでなく、すぐにプリントアウトできる状態にしてあれば、PCのデータ上で保管する方法でも大丈夫です。

苦情処理簿

警備業法施行規則第66条第1項の第8号にて、警備業者は苦情処理簿を備え付けるようにと定められています。
警備業者は、警備業務上の依頼者などといった方からの苦情に対しては、速やかに解決のための活動を行って、その苦情の内容やそれに対しての活動などについて苦情処理簿を作成しなければいけません。

 

▼書式

警備業協会が推奨している書式があります。

 

 

▼記入すべきこと

・苦情を申し出た者の氏名や連絡先
・苦情の内容
・原因究明の結果
・苦情に対する弁明の内容
・改善措置
・苦情処理を担当した者の氏名

まとめ

今回は備え付けておく法定書類についてみてきました。
それぞれの書類の書き方、書く内容、注意点がおわかり頂けたのではないでしょうか。
どれも重要な書類ですので正確に記入するようにしてください。