警備員の靴の種類や選び方は?安全靴とは?

はじめに

 

警備員の制服には、「警備業法」という法律(第16条)による規定があります。都道府県の公安委員会に「服装届」を提出し、許可を得た服装で業務を行うよう決められています。

制服は基本的に警備会社から貸与されますが、靴については指定のものがない場合、各自で用意することになります。

 

今回は、警備の靴(警備靴)の種類や選び方、安全靴についてご紹介していきたいと思います。

 

※制服全般については「警備員の制服(警備服)について①」をご参考下さい。

 

 

警備員はどんな靴を履く?安全靴は必須?

警備員が働く際の靴は、会社からの支給がない場合は、個別に用意することがほとんどです。

色については基本的に「黒」という指定が多く、革靴や安全靴などを各自で準備することになります。

警備中は足を守るため、頑丈な安全靴が必須だと思われるかもしれませんが、業務によって必要な場合もあれば、そうでない場合もあります。

 

警備業には様々な業務があり、制帽かヘルメットか、制服か夜光ベストか、といったように現場によって着用する服装が異なります。

同様に、最適な靴も業務によって変わってきます。

 

例えば、交通誘導(車が通る危険)や工場(重い物の落下の危険)の警備などは、足元を守るため安全靴を履いた方がよいでしょう。

しかし、大規模な病院やショッピングモールの巡回がメインの警備など、たくさん歩き回る業務だと普通の靴よりも重い安全靴は不向きです。

疲労が大きくなってしまうため、安全靴よりも歩きやすい靴を履いた方がよいと考えられます。

 

安全靴の特徴

安全靴は、つま先に強度をもつ先芯(強化樹脂や鋼鉄などのプロテクター)が入っている靴で、鉱業や建設業、工事現場など、足への危険がある現場で使用されています。

先芯が入っていることで頑丈ですが、その分の重量があります。

正式に「安全靴」と呼べるのは「JIS規格(※1)」に合格したものだけになります。

 

(※1)JIS規格(日本産業規格)とは、日本の産業製品に関して、規格や測定法などが定められた国家規格のこと。合格品にはJISマーク表示することができる。

 

安全靴のJIS規格の条件は、

①つま先が先芯で保護されている

②滑り止めがある

という点で、合格した製品には、靴底に「JISマーク」がついています。

革製や総ゴム製の製品が主流で、①②の条件を含め、性能の厳しい基準をクリアした靴です。

 

安全靴とプロテクティブスニーカー(プロスニーカー®)

安全靴はJIS規格の合格品ですが、JSAA規格(※2)の認定品である「プロテクティブスニーカー(プロスニーカー)」と呼ばれる、つま先を守る靴もあります。

 

(※2)「公益社団法人日本保安用品協会」制定のプロテクティブスニーカー規格にて定める、一定の安全性能や耐久性を備えた作業靴の総称。スニーカータイプを「プロスニーカー®」、長靴タイプをプロブーツ®」と呼ぶ。

 

プロスニーカーは、人工皮革や合成皮革製が主流で、スニーカータイプの安全作業靴です。

安全靴より耐久性は低くなりますが、軽量でデザイン性もあるため、軽作業用として広く利用されています。

製品のベロ(靴の甲の部分)の裏側に「JSAA(日本保安用品協会)の認定マーク」が表示されています。

 

プロスニーカーをはじめ、先芯の入った靴で「セーフティーシューズ」や「先芯入りスニーカー」、「安全スニーカー」などの名称で販売されている製品のことを、全般的に「安全靴」と呼ぶ場合があります。

 

規格を満たしていないものは強度や安全性能が判断できないため、JISマークやJSAA認定マーク、製品表示などをよく見て違いを確認し、作業環境に合ったものを探すようにしましょう。

 

安全靴は4種類

安全靴は、大きく分けると次の4種類です。

 

①〔短靴〕くるぶし下までの靴。ローカットとも呼ばれる。

②〔中編上靴〕くるぶし上まである長めの靴。ハイカット・ミドルカットとも呼ばれる。

※ミドルカットはローカットとハイカットの中間くらいの丈

③〔長編上靴〕すねの下まである長めの靴。ロングタイプ・ブーツタイプとも呼ばれる。

④〔半長靴〕すねの下まである長靴タイプ。紐やマジックテープのない筒状の靴。

 

さらに、付加的性能が付いた製品もあります。

  • 甲プロテクタの耐衝撃性…足の甲まで守る
  • 耐踏抜き性…尖ったものを踏んでも、貫通しないように設計されている
  • かかとの衝撃(エネルギー)吸収性…立ち続ける・歩き続ける場合でも疲れにくい
  • 耐滑性・防滑性…グリップ力があり、水や油など滑りにくい

 

そのほかに、保温効果、反射板付きのものなど、様々な機能が付いている製品も販売されているため、現場や用途に合わせて靴を探すことができます。

 

安全靴の選び方

自分で安全靴を選ぶ場合は、次のような点をチェックしてみましょう。

 

①サイズ…自分の足に合っているか確認(先芯・かかとが硬いため、通常の靴とはサイズ感が異なる)

・男女兼用や女性用サイズの展開、レディース専用の安全靴もある

<適正サイズの目安>靴ひもをゆるめた状態で、かかと部分に人差し指が1本入るすきまが生まれるぐらい

 

②履き心地…疲れにくいもの(長時間の勤務で履くことを考える)

 

③季節や用途に合わせる・使い分ける

・(例)冬の屋外…ボアつき安全靴(寒さ対策)

・(例)夜間…反射板つき安全靴(暗闇でも目立つ)

 

④業務によって適切なもの

・業務の内容、屋内・屋外勤務、現場の環境など

(例)交通誘導…足元ガードのため長編上靴、中編上靴など

(例)施設警備…見た目・動きやすさを優先し、革靴、防水・防滑などの機能性ビジネスシューズ、スニーカータイプなど

 

警備に使用できる靴は、多くの種類が販売されていますが、どのようなタイプの靴が業務に向いているか、現場の環境や、形状や重さなど体に負担のないよう、自分に合ったものを選びましょう。

 

購入はネット通販でもできますが、作業用品店やホームセンターなどで販売されているので、サイズや履きやすさは、実際に店舗で試着し、歩く・屈伸するなど動いて確認してみることをおすすめします。

 

また、1日のうち、朝より夕方に足がむくんでサイズが変わるため、靴の試着は夕方以降にしたほうがよいでしょう。

 

靴選びは会社の規定を確認

会社によっては、制服と同じように靴も貸与されるところがあるので、その場合は、支給品を着用することが必須です。

靴を各自で用意する場合には、黒い色を指定されることが多いですが、警備会社ごとに基準が異なります。

 

どの業務の場合でも、安全靴の着用を義務付けている

・「安全靴」指定の場合はJIS規格(JISマークを確認)を用意

※会社によっては、どの安全靴を使用するか決まっている場合もある

 

業務によって分けている・規定がある

・(例)交通誘導員は安全靴、施設警備員は革靴

・(例)商業施設での女性警備員はヒールの低い靴(ローヒールのプレーンパンプスやローファーなどを用意)

 

黒い靴であれば、どのようなタイプでもよい

様々なパターンがあるため、靴を選ぶ前に、会社で決められている基準を確認しておきましょう。

 

まとめ

警備の業務で使用する靴は、色は黒が基本ですが、働く現場によって最適な靴が異なります。

 

会社から貸与される場合もありますが、各自で準備する場合には、靴についての社内ルールがあるか前もって確認しておくことが重要です。

ケガや事故などから足元を守るため、「安全靴」の指定があれば、JIS規格(JISマーク付き)のものを用意してください。

 

警備員向けの靴は様々ですが、働く現場や、自分が必要としている機能が付いているものを選ぶことがスムーズな業務につながります。

また、自分の身の安全を守るためにも、破損のない状態の靴を履くようにしましょう。