注意しよう!警備業務中の事故について

はじめに

 

警備の仕事は、施設警備、イベント警備、工事現場の警備など幅広い現場があります。
人々の安全を守るという仕事の特性上、どうしてもトラブルが発生したり、事故が起きたりすることもあります。
起こりうる事故に備えるためには、どんな事故が発生したのか知ることが大切です。そこで今回は警備業務中に起こる可能性のある事故事例をご紹介します。

 

 

こんな事故に要注意 2号業務・交通誘導編

交通誘導で起こりうる事故は主に2つ、「警備員が工事車両に接触してしまう事故」と「警備員の誘導ミスにより通行人やドライバーに発生する事故」です。

前者は警備員が怪我をしてしまいますし、後者は通行人やドライバーが怪我を負ってしまいます。どちらも防がなくてはならない事故です。

 

警備員が怪我をしてしまうケース

警備業での労災で最も多いのが交通誘導中の事故です。重大なケースでは死亡してしまうような事例も報告されています。

 

例えば、厚生労働省のホームページ「職場のあんぜんサイト」によると、道路舗装工事の現場において、警備員がローラーに激突されてしまうといったような事例があります。
これはローラーによる作業範囲に警備員が立ち入ってしまったことで起きた事故でした。

 

他にも、炎天下の工事現場において熱中症で倒れ、休憩時間中に意識不明の状態で発見され命を落としてしまったケースもあります。

交通誘導中に交通事故が発生して怪我人が出てしまうケース

警備員は警察官や交通巡査員と違い法的な権限がありません。そのため、警備員の交通誘導については道路交通法が優先されます。

 

例えば、交通巡査員が停止の合図をしていたのに、青信号だからと車を走らせてしまうと信号無視になります。
逆に、警備員が進めの合図を送っていても、赤信号で車を走らせると信号無視になりドライバーの過失として扱われます。

 

では警備員の誘導ミスで交通事故が発生し、怪我人が出た場合はどうなるかというと、ドライバーだけではなく警備員にも賠償責任が生じる可能性があります。
警備員は、間違った合図を送ってドライバーを惑わせてしまったという事実において過失が認められることになるのです。
警備員とドライバーの過失による割合は、1:9のこともあれば5:5になることもあります。

 

以上が民事事件のケースです。刑事事件に関しましては、警備員が刑事責任を問われてしまうようなケースは稀ですが、重大な誘導ミスの結果死亡事故が発生してしまった場合には、警備員も刑事責任を問われる可能性が出てきます。
実際に、水道工事現場での交通誘導ミスが原因で子供が死亡した事例ではドライバーだけでなく警備員にも有罪判決が下されています。

 

交通誘導の際に警備員が安全に気を配るのは当然のことですし、もし賠償責任を求められても大抵の場合は会社の保険から支払われますので、過剰な心配はせず、平常心で業務をこなしましょう。

こんな事故に要注意 1号業務・施設編

商業施設やオフィスビルといった施設の警備にあたるのが1号業務です。
1号業務の事故原因で最も多いのは巡回中の転倒によるものです。
次いで多いのが移動中の転倒によるものになります。

 

例えば『夜間の巡回をしている最中、足元が暗かったため階段を踏み外して転倒した』『駐車車両をバックで出庫させる際、後退しながら誘導したため背後の歩道の縁石に気づかずにつまずいて転倒』などの事例が挙げられます。現場の状況によっては大怪我に繋がりかねません。

 

また、施設警備の場合も熱中症には注意が必要です。炎天下の屋外駐車場で自動車の誘導中に熱中症にかかり、適切な応急処置をされなかったことによって警備員が死亡したケースがあります。

もしも負傷してしまった場合は?

このように、警備業は他の業種に比べると業務中の事故に遭う可能性が高い職種です。
万が一、警備中に怪我をしてしまった場合は速やかに労災の手続きをする必要があります。

 

警備員は一般的には警備をする現場に行って業務を行うので、現場を監督している会社で労災手続きをする場合もあれば、雇い主である警備会社の方で労災手続きをするといった場合もあります。
基本的には警備会社の労災として扱うことになりますが、警備業務の契約が請負契約である場合は、原則として現場の監督をしている会社の労災が適用されることになります。

 

負傷しないために注意深く仕事をすることや、負傷してしまった時に労災の手続きをすることはすごく重要ですが、何よりも警備員が安全に仕事をできる環境が整っていることが大切です。

 

安全な仕事環境のために重要なのが警備計画です。現場の状況に合わせた綿密な警備の計画を作成し実行することにより、行き届いた警備ができることに加えて、警備員も安心して警備に努めることができます。

まとめ

警備員は人々の安全を守る仕事であるため、他の業種と比べると業務中の事故が発生する可能性があります。
1号警備に分類される施設内の警備では転倒の危険、2号警備に分類される交通誘導の警備では工事車両との接触の危険に注意しましょう。
両方に共通する危険は夏場の熱中症です。屋外の業務であれば1号警備であっても熱中症に要注意です。

 

万が一、業務中に負傷してしまった場合は労災の申請をしましょう。