債務超過・借入過多の会社はどうするの?
【債務超過とは】
債務超過は、企業が抱える負債総額が資産に対して上回っている状態です。この状態に陥ると、すべての資産を売却しても、債務のすべてを返済しきれないことを指します。
会社を運営していく上で危険な状態と判断できます。
個人で例えるなら、持ち家や車、家電といった買い手のつく持ち物すべてを売り払っても、借金がまだ返しきれないという状態です。これは企業にとっては非常に危険な状態といえるのです。
債務超過に陥った場合、銀行との関係性が悪化します。金融機関から倒産リスクが高い状態と判定され、新規借入が出来なかったり、金利が通常よりも高く設定されたり、場合によっては早期の返済を迫られたりする可能性があります。
金利の上昇や返済に追われることになり、資金繰りに問題が生じます。
債務超過の企業は、赤字が恒常化しているということです。赤字が続いていれば、一般的にお金が減っていく状態になっています。
会社を精算する際に、負債が残る状態です。このような状態は信用力を著しく低下させるため、新規の貸付けを受けることができなくなります。
また取引を行う場合にも信用力の低さから警戒されます。円滑な経営を行うことが出来ません。
債務超過したからといってすぐに破産というわけではありませんが、破産する危険度は極めて高い状態となります。
【借入過多とは】
経営は借入無しの自己資金だけであれば一番望ましいです。しかし、現実には多くの会社が銀行から借入をしています。
また企業の多くは成長戦略を軸に会社経営を行っています。となれば、自己資金だけでは大胆な事業投資は出来ません。そこで必要となるパートナーが金融機関となります。
従って、会社経営の売上―経費=利益の感覚と同時に、借入金の返済金額と借入利息の感覚を持っていなければ、借入過多に陥ってしまう事になります。
それでは銀行からみて借入過多とはどういった基準で見ているのでしょうか。
借入金には当然利息がかかります。
借入金が多いほど支払う利息も多くなります。
例としまして、
あなたの会社の営業利益を仮に10,000千円の黒字だとします。
しかし営業利益というのはまだ借入の利息を支払う前の利益です。
もし支払利息が15,000千円となると、どうなるでしょうか。
それは5,000千円の赤字を指します。
借入の利息を支払い赤字になってしまったという事です。
借入金が多いと支払う利息が大きくなり収益を激減させます。
せっかく事業で収益を稼いでも借入利息によって、収益を失ってしまう場合が現実にあるのです。
資金繰り(キャッシュフロー)の観点で、借入過多かどうかは支払利息が営業利益よりも多い場合は借入過多という事になります。
【M&Aには要注意】
昨今、事業継承や事業売却でM&Aに注目が集まっています。これは2010年初頭の頃に比べると、比にならない程です。
買い手側からすると、事業成長にかける年月や投資金額、人材育成、営業強化を鑑みたら、M&Aという手法はとても魅力的です。
しかし、現在のM&A市場は圧倒的に売り手市場です。
まずはそのことをしっかり理解しましょう。
この理解がなければ、ポジショントークに誘導され適正価格以上の価格で決済されてしまう場合があるからです。
即ち、前述した債務超過や借入過多の企業に多額の価値をつけて、売ってくる場合があるのです。
売り手側からすると藁にもすがる思いです。買い手の投資回収年数を考慮などしません。
より高い価格で売り抜けて、市場から引退したいのです。
ですので、DD(デューデリジェンス)がとても重要となります。
より適正な価格で、あなたの事業発展に繋がっていく為に、確かな知識と判断を持ってください。
【債務超過・借入過多の会社は打つ手なし?】
決してそういう事ではありません。こういう情報を売主は極力隠したがる傾向にあります。
しかし、商談を進めていく中で、買い手側が違和感を抱いてしまうとそれは破談となる可能性が非常に高いです。
ですので、負の情報ほど早い段階で開示する事を推奨します。
それによって破談となる可能性はもちろんあります。
しかし、DDを進めて最終局面で破談となるより、初手の段階ではっきりとした方がお互いの為だと思いませんか。
人の心を動かすのに、嘘や屁理屈は不要です。あなたが誠意をもって買い手に相談した場合、親身になって解決策を模索してくれる買い手と出会える可能性があるのです。
M&Aが成立した場合、買い手側は買った先企業の責任者を誰にするか、そう悩むケースが多いです。
売り手のあなたが誠意をもって会社の情報をくまなく開示してくれれば、代表取締役のまま雇ってくれる可能性があります。株式譲渡した金額よりも債務が残ってしまった場合は、一旦買い手側にすべてを立て替えてもらい、あなたの報酬からゆっくり返済していく。そういう相談が可能になります。
買い手側は売り手側の誠意を待っているのです。